雨後の筍


竹博士の上田弘一郎先生はご本に、「雨後の筍」とは「つぎつぎに続出する社会の出来事にたとえられる。」と書いておられます。

ところで、あまり良い例ではありませんが、今政界で公設秘書の給料をネコババしたとか、 流用したとか、そんな話がまさに「雨後の筍」のように続出している・・ というように使うことが出来ましょう。 今、まさにタケノコの発生シーズンですから、今政界を騒がせているこの問題にピッタリの諺と言えましょうね。

さて、この「雨後の筍」なる諺はどうして生まれたのでしょう。 その文字から想像されることは、「雨が降るとタケノコがよく出る」ということになります。 しかし、本当は半分イエス?で、半分ノー?です。「何のこっちゃ?」とお叱りでしょうが、 ある条件ではそうであり、ある条件ではそうとも言えないという意味です。

その条件でもっとも関係深い点は、タケノコの発生期間は限られて(マダケの仲間では40-50日程度)いて、 しかも出始め、出盛り、出終わりの3段階に分けられることです。 例えば、出盛りの時に雨量が多いと、発筍量(タケノコの出る量のこと)も増えます。 しかし、出盛りを過ぎてしまうと、どんなに大量の雨が降っても発筍量は減少するだけです。 つまり、タケノコの発生に効き目のある雨量は、出盛りまでの期間の雨ということになります。 ですから、半分正しく、半分正しくないということになります。

さらに、気温が深く関わります。タケノコが出始め、雨量が適当であっても気温が低いと発筍は限られます。 「桜前線」はご存じでしょうが、その点では「タケノコ前線」ともいえる現象もあります。 この仮称タケノコ前線を詳しく調査した結果は見たことありませんが、 発筍も温暖な地方から順次北上しますから、現象としては桜前線と同じといえます。

要するに、タケノコの発生は気温の上昇と雨量との関係で促進されます。 しかし、短い発筍期間の中で、出盛りを過ぎてしまうと、もはや雨量は発筍量に関係しなくなります。

ついでの話ですが、地下茎の寿命は10年足らずです。 その中で、タケノコを産む能力のある地下茎の年齢は2年生から6年生ぐらいまでで、 1年生の地下茎からタケノコが成長することはめったにありません。 もっとも良くタケノコを産む地下茎の年齢は4年生で、その以上の年齢になるにつれて タケノコを発生させる能力は急激に低下します。

これを人間の生理に例えてみましょう。こんなことを言うと、セクハラじゃ! とお叱りでしょうが、 タケノコの発生期間を女性の一生に例えた時、中年までは出産の可能性が著しく高いのですが、 高年になるほどその可能性は低下する(多分)・・のと似た現象といえなくもないのです。

とにかく、続出する社会の出来事に通じるという「雨後の筍」現象が今の政界にも通ずるというなら、 「何とかしてくれや!」と叫びたくなります。困ったもんですよ、ハイ!


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