「竹の秋」って、どんな現象?



昔からの言い伝えで「竹の秋」という言葉があります。さて、これはどういう現象でしょうか。
これは、もちろん、単なる言い伝えだけの話ではなく、竹の生きざまとしてとても重要な現象です。
  
実は、竹類はほぼ毎年新しい葉に更新します。その更新時に竹は紅葉します。
しかも、ほんの短い期間ですから、その紅葉に気付かないこともあります。その紅葉期は、何と春です。
しかし、これが 竹の秋 と呼ばれているのです。

   竹の秋どこも寝る灯のやすらけし    豆城

竹の秋という言葉は、どうやら詩歌の題材から生まれたもののようです。
それでは、竹の秋を説明しましょう。

  
写真は、モウソウチクが紅葉した枝を撮影したものです。
すなわち、紅葉している葉はすでにほぼ1年間の働きを終え、そして枯れ、落葉しようとしている葉です。
このような状態の時に上の写真のような竹林の「竹の秋」が見られるのです。
しかし、落葉樹のように、すべての葉が一時に落ち、葉のない時期があるのではありません。
この写真でお分かりのように、紅葉している葉の付け根の小枝からすでに新しい葉が針状に伸びています。
この新しい葉は紅葉している葉が落ちると同時に開き、同化作用を始めます。
したがって、竹類は常緑です。


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