竹類は毎年太らない



太くて、大きい竹を見た人は、よく「これは何年くらい生長したものですか?」と尋ねます。 そこで、私が「これは、生まれて1年目です。」と答えると、尋ねた人は「????」と首を傾げます。
実は、竹類は毎年太らないのです。また、樹木のように伸びもしません。 そして、これは、竹類の重要な特徴の一つです。
そのナゾは竹の通道組織、根から稈を通り、葉の先端にまで至る管、つまり「維管束」という組織の構造にあります。 図は、竹内叔雄博士の著書にあるホウライチクの維管束の構造を示したものです。
それでは、この維管束の構造を説明しましょう。
  
まず、目玉のような大きな2つの穴は、水の通り道の「道管」です。
この道管の間の少し上方にあるやや大きい管は、色々な養分の通り道の「師管」と呼ばれる組織です。
そして、道管や師管は「維管束鞘」と呼ばれる組織が取り巻いています。

さて、竹類は毎年太らない・伸びない理由として、昔学校で教わったことを思い出して下さい。
すならち、樹木の維管束には毎年細胞分化して太ったり、伸びたりさせる「形成層」と呼ばれる組織があったことを思い出すでしょう。
しかし、竹の維管束にはその「形成層」はありません。

つまり、竹には毎年太ったり、伸びたりできる組織が存在しないのです。
ですから、竹は「太る」ことも、「伸びる」こともできない訳です。


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