開花現象
竹類の開花現象は、「竹の七不思議の一つ」といわれるほど珍しいものです。竹の花にはめったにお目にかかれないと思いますので、
ここに、いくつかの例をご紹介しましょう。 | |
竹類はイネの仲間ですから、発芽してから長い年月、地下茎によって繁殖を続けますが、
ある一定の時期に達すると、花を咲かせ、種子を実られて一生を終えます。 | ところで、一般のイネ科植物は毎年、春に発芽し、夏頃に花が咲き、秋に実をつけて一生を終えるのですが、 竹類は花を咲かせるまでの期間が大変長く、その期間を「開花周期」と言われています。 この開花周期は種類によって異なり、またこれまでに開花が確認されていない種類があるなど、まさに神秘な状況にあります。 ちなみに、日本の竹の開花周期については、つぎのような記録があります。 |
竹 種 | 開花周期(年) | 備 考 | モウソウチク | 67年 | 横浜市、京都大学など | モウソウチク | 67年 | 東京大学、京都大学など | マダケ | 120年 | 昭和40年代に全国的で記録 | |
ところで、テレビや新聞などで時々「竹は60年に一度花が咲く」などと報じられますが、それは間違いです。 | わが国では、モウソウチクが発芽から67年目に開花したという例が2つあるだけです。 ですから、たった2例だけでモウソウチクは67年周期で開花すると断言することは決して出来ません。 ただし、マダケについては、昭和40年代に日本だけでなく、世界中のマダケが一斉に開花し、 前回の開花からほぼ120年を経て起こったことから、マダケについては120年周期に間違いないとされています。 なお、最近、各地でトウチク、ナリヒラダケ、メダケなどの開花が確認されていますが、それらの開花周期については分かっていません。 |
一般に、花穂がいくつも連なった形で付き、一つの花穂の先端に雄しべが垂れ下がります。 しかし、雌しべは穎に隠れるように、ほとんど見えない状態で存在します。 そして、その構造はまさにイネの花とそっくりで、これを見ると竹類がイネ科の仲間であることが理解できます。 |
花の構造 |
モウソウチクの花 |
ナリヒラダケの花 |
ホウライチクの花 |
一般に、一見したところ、ムギのような感じの種子がほとんどです。
それを見ると、竹類がいかにもイネの仲間の植物であることが分かるでしょう。 ここにいくつかの種類の種子(果実)をお見せしましょう。 |
モウソウチクの種子 |
ミヤコザサの種子 |
Thyrsostachys siamensisの種子と発芽 |
開花すると梨のような大きな果実がなる不思議なMelocannna bacciferaの果実(上田弘一郎博士撮影) |