単軸型地下茎

図と写真のように、このタイプは地下茎が地中を這うように伸び、繁殖します。
その地下茎には節があり、その節部には「芽」があります。
その芽は、温度や水などの一定の条件が満たされた時期になると、タケノコとなって伸長し始め、そして竹(竹稈)になります。
したがって、竹林は1本、1本の竹がばらばらに立つタイプになります。
このような竹林のタイプを「散生型」、すなわち「ばら立ち型」といいます。
このタイプは暖温帯性で、日本の竹林のほとんどがこのタイプです。


一家族の地下茎

竹林の地中には地下茎が無数に広がっていて、これを地下茎のネットワークとでも言えます。
その地下茎の掘り上げてみると、意外にも、地下茎はいくつかの一つながり、あるいは家族を形成していることが分かります。
左の図は、マダケ林の中から掘り上げた一連、あるいは一家族の地下茎の広がりです。
一番古い地下茎は9年生で、ほぼ腐りかけた状態になっています。
その後、毎年新しい地下茎の伸ばし、この例では、一家族の延長は120mにも達しています。
この一連の地下茎には16本の竹が付いており、また切り株が4株ありました。
つまり、竹林の地中にはこのような家族の地下茎が何組も存在し、1uの中に延べ8m以上もあることが分かっています。

このように、単軸型の地下茎は地中で強固なネットワークを展開しており、これが土壌をしっかり強固にする役割を演じています。
その典型的な例が河川敷や堤防に植えられている竹林です。
わが国の大きな河川にはかつて大規模な竹林が作られ、その近辺で竹産業が発達していました。
近年、河川の竹林はとても少なくなりましたが、最近になって、河川における竹林の水防効果が見直されつつあります。

昔から、「地震の時には竹藪へ逃げろ」という言い伝えがあります。
また、民家の裏山などでは良く竹林を見かけます。
これは、竹の持つ防災機能を巧みに利用した例で、竹林では地震による地割れなどが起こりにくく、また竹が裏山の崖崩れや崩壊を防ぐのに役立っているからです。
こうした竹の防災上の機能に今一度注目したいものです。


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