一般に、竹類が「イネの仲間」であることは良く知られています。
しかし、竹の姿を見てみると、見慣れているイネの仲間などとはとても思えないでしょう。
そこで、竹類の植物学的な位置付けについて説明します。
鈴木貞雄博士著「日本タケ科植物総目録」から、「一般のイネ科植物」と「タケ・ササ植物」のちがいを一覧表にすると、つぎのようになります。
栄養器官のちがい
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器官 |
一般のイネ科植物 |
タケ・ササ植物 |
茎 |
通常、やわらかい茎で、草本 |
茎が固く木化する木本 |
枝 |
花序のほかは枝を分岐しない |
枝をよく分岐する |
関節 |
葉身と葉鞘の境目に関節がなく、葉が枯れても葉身は葉鞘から離脱しない |
葉身と葉鞘の間に関節があって、葉身は離脱しやすい |
葉 |
通常、細長く線形で、葉柄がない |
葉身は幅広い披針形で、基部には葉柄がある |
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すなわち、竹類の茎・枝・葉などの栄養器官は一般のイネ科植物とちがう特徴があるものの、
生殖器官の花は両者がとても似ていることから「イネ科の仲間」といわれる訳です。
ただし、近年の研究で、中南米を中心に茎が木化しない草本の竹類が多数発見されていることから、
イネ科の特徴から竹類の特徴へと進化してきた過程が論議されています。
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竹類の植物学的な分類では?
一般に、竹類の植物分類学的なとらえ方はつぎのようです。
◆栄養器官の特異性を重視する学者は
タケ科 (Bambusaceae) としてイネ科から独立させています。
◆花を分類の基準とする学者は
イネ科のなかの一群としてタケ亜科 (Bambusoideae)
あるいはタケ族 (Bambuseae) としています。
◆近年では、タケ亜科とする学者が多くみられます。
◆ちなみに、私もタケ亜科を採用しています。
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